「悪魔」のカードに描かれているのは、七つの頭と十本の角を持った赤い竜です。これは神に背こうとするもの。もうすぐ生まれくる神の子、いずれ地上のすべての民を治める主となる者を食い殺そうと待ち構えているのです。
竜の姿をしていますが、もとは長い年月をかけて知恵と力を蓄えていった巨大な蛇です。それぞれの頭に黄金の冠を載せているのは、この蛇が権威や知恵、強い力を有していることの象徴です。この蛇は「悪魔」あるいは「サタン」と呼ばれ、あらゆる方法で多くの人々を惑わしました。
このカードに描かれている悪魔は、恐ろしく邪悪な姿をしています。しかし、いつなんどきもそのようなわかりやすい姿で現れるとは限りません。悪魔はときに聖者や善人のふりをして人々を欺き、その心につけ入ろうとするのです。