孤独な聖者

孤独な聖者

「孤独な聖者」のカードに描かれているのは、エーゲ海に浮かぶパトモス島に流刑された聖者ヨハネの姿です。彼は己の信じる神に身も心も捧げていましたが、そのために時の皇帝ドミティアヌスに迫害され、この小さな島に流されたとされています。
 彼は頭まですっぽりとマントをかぶり、こちらに背を向けて座り込んでいるため、表情をうかがい知ることはできません。肩を落とし、途方に暮れているようにも見えます。
 そう、彼はこの島にたどり着いたばかりで、今はただ「無」の状態。右も左もわからない地で、何も持たず、どこへ行くあてもないのです。
 しかし、彼はすべてを失ったわけではありません。いかに迫害されようとも信仰心は失われず、どんな力をもってしても心まで支配することはできないでしょう。そして彼はこの後、神のことばを聴くことになるのです。